温泉の仕事内容とは?日帰り温泉のフロントと厨房の1日、清掃、きついところを現場に聞きました
温泉の仕事内容を、山梨・西湖の日帰り温泉「いずみの湯」の現場の責任者に聞きました。持ち場はフロントと厨房の2つ。1日の流れ、清掃、慣れるまで時間がかかること、きついところを答えのとおりに書きます。
「温泉で働いてみたいけれど、実際には何をするんだろう」。温泉のバイトや正社員の求人を見ると、「受付」「清掃」「調理」と職種の名前は並んでいます。ただ、その名前だけでは、1日のうちに何をどの順番でやるのかまでは分かりません。
HAMAYOUリゾートは、山梨の西湖でホテルとキャンプ場、日帰り温泉を運営している会社です。その日帰り温泉のいずみの湯で、いま食事処の調理責任者を探しています。入社してから「聞いていた話と違う」とならないよう、現場の責任者に持ち場と1日の流れを教えてもらいました。先に結論を書くと、温泉の仕事は「受付だけ」「調理だけ」では終わりません。フロントのスタッフは浴場の清掃もしますし、厨房のスタッフも閉店後にお風呂の締め作業に入ります。
温泉施設の仕事は、大きく4つに分かれる
まず、一般的な話です。温泉施設の仕事は、施設の大きさや形によって呼び方が変わりますが、中身はだいたい次の4つに分かれます。
- 受付・フロント:お客様の受付、料金の案内、館内の説明、電話の対応
- 浴室・館内の清掃:浴場、脱衣所、トイレ、休憩スペースの清掃と点検
- 調理・食事処:料理の仕込みと調理、盛り付け、配膳、洗い物
- 売店・そのほか:お土産や日用品の販売、備品の管理
大きな施設では、この4つが別々の担当に分かれていることもあります。人数の限られた施設では、1人が2つ以上を受け持つのがふつうです。求人に「フロント」と書いてあっても、清掃が含まれていることはよくあります。
もうひとつ違いが出るのは、宿泊があるかどうかです。
| 温泉旅館・温泉ホテル | 日帰り温泉 | |
|---|---|---|
| お客様の滞在 | 泊まりがけ | その日のうち |
| 接客の中心 | チェックイン、客室や食事の案内 | 入館の受付、館内の説明 |
| 客室の仕事 | ある | ない |
| 夜の勤務 | 夜勤の担当が置かれることが多い | 閉店後の締め作業までで終わる |
| 食事 | 朝食・夕食の提供 | 食事処でその場の注文を受ける |
旅館やホテルの仕事全体については、旅館の仕事内容とホテルとの違いの記事にまとめています。ここからは、日帰り温泉の現場の話です。
いずみの湯は、どんな温泉施設か
いずみの湯は、山梨県の西湖にある日帰り温泉です。宿泊はありません。岩に囲まれた大露天風呂、大浴場、サウナと外気浴のスペースがあり、館内には畳敷きの広い食事処と図書コーナーがあります。
来られるお客様はさまざまです。十二ヶ岳など周りの山の登山帰りの方、湖でSUPをしてから立ち寄る方、近くのキャンプ場に泊まっている方、ご家族連れ、海外からの方。日帰りの宴会や、立ち寄りの団体のお昼をお受けすることもあります。常連の方もいらっしゃいます。お客様の幅が広いことは、そのまま受付で聞かれることの幅になります。

持ち場はフロントと厨房の2つ
いずみの湯のスタッフの持ち場は、フロントと厨房の2つです。清掃は、フロントと厨房がそれぞれの仕事の中で受け持っています。
| 持ち場 | 営業中の主な仕事 | 清掃で受け持つところ |
|---|---|---|
| フロント | 受付、お客様の案内 | 脱衣所と浴場の巡回・清掃 |
| 厨房 | 食券の受け取り、調理、盛り付け、洗い物 | 食事処の巡回・清掃、厨房の清掃 |
閉店後のお風呂と店内の締め作業には、フロントも厨房も入ります。「自分の持ち場が終わったら上がり」ではなく、施設全体を閉めるところまでが1日の仕事です。
いずみの湯の1日の流れ
開店前から閉店後まで、大まかな流れは次のとおりです。営業時間は時期や曜日で変わるので、時刻は書かず順番で示します。
フロントの1日
- 開店準備:開店の前に館内を整える
- 営業中の受付:お客様の受付と案内
- 営業中の巡回・清掃:脱衣所と浴場を回り、清掃する
- 締め作業:閉店後に、お風呂と店内を締める
厨房の1日
- 仕込み:食事処が開く前に仕込みをする
- 営業中の調理:食券を受け取り、調理して盛り付け、洗い物をする
- 営業中の巡回・清掃:食事処を回り、清掃する
- 厨房の締め:ラストオーダーのあとに、厨房の締め作業と清掃をする
- 締め作業:閉店後に、フロントと一緒にお風呂と店内を締める
厨房の仕事が、料理を出し終えたところで終わらないことが分かります。ラストオーダーのあとに厨房を片付け、そのあとお風呂と店内の締めにも入ります。ここは、街の飲食店の厨房と違う点のひとつです。
フロント(受付)の仕事内容
温泉のフロントの仕事は、宿泊のフロントとは中身が違います。チェックインの手続きよりも、初めて来られたお客様に館内の使い方を伝えることが多い仕事です。受付のスタッフに聞いた話から、よくあることを挙げます。
受付でお客様に説明すること
- 海外の方には、靴を靴箱に入れるところから説明します。そのあと券売機の使い方、タオルの購入と、一通りご案内します
- 日本のお客様は、近くの施設で配っている割引券の使い方をよく聞かれます
- バスタオルは貸出、フェイスタオルは販売です。貸出のバスタオルは、浴場の入口の返却袋に返していただきます
- 小さめのリュックならロッカーに入ります。大きな登山リュックなど入らない物は、声をかけていただければお預かりします
- 入浴料は現金でのお支払いになるので、現金を持っていない方にATMの場所を聞かれることもあります
海外の方の説明は、日本の温泉の入り方そのものを伝えることもあります。水着で入ろうとされた方や、シャワーだけのブースは無いかと聞かれた方もいました。靴箱、券売機、タオルと、日本のお客様なら説明しなくて済むことを、一つずつ順に案内します。
タトゥーのある方の受付も、温泉のフロントならではの仕事です。いずみの湯には、タトゥーのある方が入れる時間帯があります。事前に調べて、その時間に合わせて来られる方が多いのですが、時間外に来られた方には、時間になるまで待っていただくこともあります。お客様の事情と、ほかのお客様への配慮の間に立つ場面です。
電話や館内でよく聞かれること
電話で多いのは、タトゥーのある方が入れる時間の問い合わせです。登山帰りの方からは、帰りのバス停の場所と時刻、大きな荷物の置き場、靴を洗う場所があるかをよく聞かれます。「サウナは別料金か」と聞かれることはありませんが、「サウナもあるんだ」と喜ばれる様子は受付からも見えます。サウナハットや自分のマットは持ち込んでいただけますが、飲み物の持ち込みはご遠慮いただいているので、その説明をすることもあります。
お願いをする場面もあります。SUPのあとに体や服が濡れたまま来られた方には、拭いてから入っていただくようお願いしています。入浴後もロッカーキーを持ったままの方が多いとロッカーが足りなくなるので、お風呂から上がったら返却していただくよう声をかけます。泥のついた靴は落としてから、濡れたレインウェアは玄関で脱いでから入っていただくようにお願いすることもあります。混み合う時間は、ドライヤーやロッカーを譲り合って使っていただくように案内します。接客といっても、笑顔で迎えるだけの仕事ではなく、館内を気持ちよく保つためのお願いを、角が立たないように伝える仕事でもあります。
お子さん連れの場面もあります。畳の休憩スペースでお子さんが走り回っていて、ほかのお客様が離れた席へ移られたこともありました。そうしたときは、親御さんに声をかけることもあります。浴室では、大きな声で騒がないこと、飛び込まないことをお願いしています。
新しく入った人が慣れるまで時間がかかること
現場の責任者が挙げたのは、複数人のグループが来館されたときの鍵の交換と、ロッカーの配置の把握です。人数が増えるほど、鍵のやり取りもロッカーの場所も、一度に頭に入れることになります。

浴室・脱衣所の清掃の仕事
温泉の仕事内容を調べると、清掃の話は必ず出てきます。いずみの湯の清掃は、営業中の清掃、閉店後の締め作業、浴槽の水を抜く大掃除の3つに分かれます。
清掃を軽く見ないでほしいのは、施設の印象が接客より先にお風呂の状態で決まることがあるからです。温泉に来られた方がいちばん長くいる場所を整える仕事だと考えると、中身が見えやすいと思います。
営業中の清掃
営業中は、フロントのスタッフが脱衣所と浴場を定期的に回ります。時間を決めて回るだけではなく、使用済みのロッカーキーの溜まり具合を見て、お客様の動きに合わせて清掃に入ります。キーが溜まっているのは、それだけ多くのお客様が脱衣所を使ったしるしです。
回っていると、次のようなことに気づきます。
- 体を拭かずに浴場から出てくる方が続くと、脱衣所の床が濡れる
- サウナマットがサウナ室に置いたままになっている
- 水風呂の水が、お子さんの水遊びで減っている
こうしたことに気づいて整えるのも、営業中の清掃の仕事です。
閉店後の締め作業
閉店後は、フロントと厨房のスタッフでお風呂と店内を締めます。お客様が全員帰られたあとの、その日の最後の仕事です。
浴槽の水を抜く大掃除
定期的に、時間をかけて大掃除をします。浴槽の水を抜き、スタッフみんなでデッキブラシなどを使って磨きます。ここでは持ち場に関係なく、みんなで取りかかります。
食事処の調理の仕事
いまいずみの湯で募集しているのは、この仕事の責任者です。
食事処では、日帰りでお越しになったお客様に、うどんや定食などを一品ずつお出しします。ご注文を受けてから作るので、動き方は町の食事処に近いです。お客様から食券を受け取り、調理して盛り付け、洗い物をします。営業中は食事処を回って清掃もします。日帰りの宴会や、立ち寄りの団体のお昼をお受けする日もあります。
食事処の1日は、在庫の確認と厨房の立ち上げ、仕込み、営業、片付けという流れです。登山帰りのお客様には、生ビールとおつまみも人気です。山の登り納めのように、少人数でお疲れ様会をされる組もあります。

忙しい時期と、1日に出る食数
いちばんのピークは、夏と秋の日曜です。いちばん多い日で、ドリンクも含めて1日250食が出ることもあります。忙しい土日の平均は100〜150食前後です。季節と曜日で食数が変わるので、仕込む量もそれに合わせて変わります。
くわるびの厨房との違い
同じ会社の調理でも、ホテル光風閣くわるびの厨房とは別の仕事です。くわるびでは学生団体の料理を大量に作り、決まった時刻に全員へ届けます。いずみの湯では、注文が入るごとに一品ずつ作ります。片方の経験だけで入ると、もう片方は頭の切り替えから始まります。くわるびの厨房のことは、ホテルの調理師の仕事の記事に書いています。
温泉の仕事のきついところと、先に知っておいてほしいこと
「温泉 仕事 きつい」と調べる方も多いので、ここも書いておきます。一般的には、次のようなことがよく挙げられます。
- 立ち仕事が多い
- 浴場の清掃は、湿気と暑さの中での作業になる
- 床が濡れているので足元に気をつかう
- 世の中が休む土日祝がいちばん忙しい
- 閉店後にも作業がある
いずみの湯の現場の責任者に体力面のきつさを聞くと、挙がったのは繁忙期の拘束時間でした。繁忙期は連日の営業になり、営業時間も長くなるので、ほかの時期に比べて拘束時間が長くなることがあります。シフトの管理で、連勤の数を抑え、長時間の勤務を避けるように可能な限り心がけていますが、忙しい時期があること自体は変わりません。
いずみの湯に入る前に覚悟しておいてほしい点は、4つあります。
- 持ち場の外の仕事があります。フロントでも清掃をしますし、厨房でも閉店後のお風呂の作業に入ります。調理だけ、受付だけをしたい方には合わないかもしれません
- 週末と夏秋に忙しさが寄ります。食事処のピークは夏と秋の日曜です
- 大掃除は全員の仕事です。デッキブラシで浴槽を磨く力仕事があります
- お客様へのお願いも仕事です。濡れたままの入館やロッカーキーの返却など、言いにくいことも声をかけます
いずみの湯で働く人が「ここが良い」と言っていること
いずみの湯のスタッフの間で、働いていて良かったと話に出るのは次の3つです。
- 入浴が無料:休憩時間や勤務の前後に、いずみの湯のお風呂に入れます。温泉で働く魅力として、いちばん分かりやすいところです
- 食事の割引:食事処の食事が半額相当の割引で食べられる制度があります
- 風通しの良い人間関係:持ち場が2つで、閉店後の締めや大掃除を一緒にする職場です
温泉の求人を見るときに確かめたいこと
温泉の仕事を探している方に向けて、一般的な話をもうひとつ書いておきます。同じ「温泉スタッフ」の募集でも、中身は施設によって大きく違います。バイトやパート、正社員のどの形で働くにしても、応募の前に次の点を確かめておくと、入ってからの食い違いが減ります。
- 清掃がどこまで含まれるか:受付の募集でも浴場の清掃があるのか、清掃の担当が別にいるのか
- 閉店後の作業があるか:営業の終わりが仕事の終わりとは限りません
- 忙しい時期はいつか:土日祝か、夏か、紅葉の時期か。施設のある地域で変わります
- 宿泊があるかどうか:宿泊があれば、客室の仕事や夜の勤務が加わることがあります
- お客様の層:観光の方が多いのか、地元の常連の方が多いのか、海外の方が多いのか
求人票に書いていないことは、面接で聞いて大丈夫です。いずみの湯の場合は、ここまでに書いたとおり、清掃はフロントと厨房が受け持ち、閉店後の締め作業があり、夏と秋の週末がいちばん忙しい施設です。
温泉の仕事で身につくこと
ここは現場の答えではなく、ここまでの仕事の中身から言えることです。
温泉のフロントで身につくのは、初めての方に手順を順に伝える力です。靴箱、券売機、タオル、ロッカーと、相手に合わせて言葉を変えながら案内することを毎日くり返します。海外の方が来られる施設なら、言葉が完全に通じなくても伝える工夫も増えていきます。言いにくいお願いを角を立てずに伝える経験は、接客の仕事ならどこでも生きます。
厨房で身につくのは、注文に合わせて一品ずつ出しながら、洗い物や清掃まで回す段取りです。ピークの日には、忙しい時間の中で食数をさばくことになります。在庫の確認から片付けまで、食事処の1日を通して見る経験は、調理の責任者の仕事そのものです。
温泉の仕事に向いている人
現場の答えをもとに考えると、いずみの湯の仕事に合うのは次のような方です。
- 受付や調理の合間に、清掃や片付けに動くことを苦にしない方
- 登山帰りの方から海外の方まで、いろいろなお客様に同じように説明できる方
- 持ち場をまたいで、周りのスタッフと一緒に動ける方
- 温泉が好きで、働く前後にお湯に入れることを楽しめる方
調理責任者の募集では、これに加えて、注文に合わせて一品ずつ出す仕事が好きな方が合います。
温泉の仕事についてよくある質問
フロントのスタッフも掃除をしますか?
します。営業中の脱衣所と浴場の巡回・清掃はフロントの仕事です。
厨房のスタッフもお風呂の作業をしますか?
します。厨房の締めのあと、閉店後のお風呂と店内の締め作業に入ります。
海外のお客様の対応はありますか?
あります。靴箱の使い方から説明することが多いです。
温泉の仕事は、未経験でもできますか?
受付や清掃は、未経験で始められる募集が世の中には多くあります。調理責任者の募集で求める経験は、Indeedの求人ページを見てください。
働く前後に温泉へ入れますか?
入れます。いずみの湯では、休憩時間や勤務の前後にお風呂を利用できます。
温泉の仕事は土日に休めますか?
いずみの湯は土日が忙しい施設で、夏と秋の日曜がいちばんのピークです。休日の決まりは求人ページで確かめ、気になる点は面接で聞いてください。
いずみの湯で、いま募集している仕事は何ですか?
食事処の調理責任者(正社員)です。募集している職種は変わることがあるので、採用情報のページで確かめてください。
勤務時間やお給料は、どこを見ればいいですか?
勤務時間、給与、休日は、この記事に載せていません。正式な内容はIndeedの求人ページにあります。
いずみの湯の求人に応募するには
職種の名前の裏には、ここまで書いたような細かな作業が並んでいます。フロントと厨房のどちらも、清掃から閉店後の締めまで関わる職場です。繁忙期の拘束時間があり、浴槽を磨く力仕事もあります。それでも、注文ごとに一品ずつ料理を出す食事処を任されてみたいと思った方は、採用情報を開いてください。条件の最新の内容は、その先のIndeedの求人ページに載っています。