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旅館の仕事内容とは?ホテルとの違い、1日の流れと最初の1か月でつまずくこと

旅館やホテルの仕事内容は、お客様と接する仕事、調理の仕事、施設を支える仕事の3つに大きく分かれます。この記事では、山梨県・西湖のほとりで学校や会社の団体を受け入れているホテル、光風閣くわるびを運営するHAMAYOUリゾートが、それぞれの仕事の中身と、現場の1日の流れ、入ったばかりの人がつまずきやすいことをまとめます。

旅館やホテルで働きたいと思っても、求人票に書かれている「接客」「サービス」「フロント」だけでは、実際に何をするのか想像しにくいものです。ここでは一般的な旅館やホテルの職種の話に、現場のスタッフが答えてくれた「ある1日」と「最初の1か月」の話を足して書いています。給与や休みなどの条件は求人票ごとに違うので、この記事では扱いません。

旅館やホテルの仕事は、大きく3つに分かれる

旅館やホテルにはたくさんの職種名がありますが、仕事の性質で分けると、だいたい次の3つになります。宿の規模が小さいほど、1人で複数の仕事を受け持つことが多くなります。

お客様と接する仕事

フロントでのチェックイン・チェックアウト、館内のご案内、客室へのご案内、食事の準備と配膳、宴会や会議の会場準備などです。旅館では「仲居」と呼ばれる客室係がこの仕事の中心になり、ホテルでは「フロント」「レストラン」「宴会」のように持ち場ごとに分かれていることが多いです。

お客様が宿で過ごす時間のほとんどに関わる仕事です。到着のお出迎えから、食事、お見送りまで、宿の印象はこの仕事で大きく決まります。

調理の仕事

朝食・夕食や宴会料理を作る仕事です。献立に合わせた仕込み、調理、盛り付け、片付けまでを受け持ちます。旅館では一品ずつ出す会席料理、ホテルではビュッフェや宴会の大皿料理など、宿によって作るものと作り方が大きく変わります。

施設を支える仕事

客室や大浴場、廊下などの清掃、食器や調理器具の洗い場、布団やリネンの管理、設備の点検などです。お客様の目に触れないところで、宿の状態そのものをつくる仕事です。お客様が部屋に入ったとき、お風呂に入ったときの印象は、この仕事で決まります。

このほかに、予約の受付、旅行会社や学校・会社への営業、経理や人事といった事務の仕事があります。大きな宿では専任の担当がいて、小さな宿ではフロントや支配人が兼ねていることもあります。

旅館とホテルで、仕事内容はどう違う?

一般的に、旅館は和室と温泉、部屋や個室でとる食事が中心で、1人のスタッフがお客様の到着から食事、布団敷き、お見送りまでを通して担当することが多いといわれます。仲居の仕事がその代表です。

ホテルは洋室とレストランが中心で、フロント、レストラン、客室清掃のように仕事が持ち場ごとに分かれていることが多いです。1人が受け持つ範囲は狭くなりますが、そのぶん同じ仕事を深く覚えることになります。

ただ、実際にはこの境目ははっきりしていません。和室のあるホテルも、ビュッフェのある旅館もあります。働く場所を選ぶときは、「旅館かホテルか」よりも、次に書く「どんなお客様を泊めているか」を見たほうが、仕事の中身を想像しやすくなります。

主な職種と、それぞれの仕事内容

3つの仕事を、求人票でよく見る職種名に当てはめると、次のようになります。宿によって呼び方や受け持つ範囲は違いますが、おおまかな中身はどこも似ています。

フロント

チェックインとチェックアウトの手続き、お部屋の鍵の受け渡し、お会計、電話やメールでの問い合わせへの対応、館内や周辺の観光のご案内などを受け持ちます。お客様が宿に着いて最初に会い、最後に見送るのがフロントです。予約の受付や、旅行会社とのやり取りをフロントが兼ねている宿も多くあります。

仲居・客室係

主に旅館の仕事です。お客様をお部屋へご案内し、お茶をお出しして館内の説明をします。夕食や朝食をお部屋や個室にお運びし、食事のあとは布団を敷きます。1組のお客様を到着からお見送りまで通して受け持つことが多く、お客様といちばん長く話す仕事です。

レストラン・宴会

食事会場のテーブルのセッティング、料理の配膳と飲み物の提供、下げ膳と片付けを受け持ちます。宴会や会議がある宿では、会場の机や椅子の配置、マイクやプロジェクターなどの準備、当日の進行の手伝いもこの仕事に入ります。

調理

料理長のもとで、仕込み、調理、盛り付けを分担します。最初は洗い物や下ごしらえから入り、焼き物、揚げ物、煮物と少しずつ持ち場を広げていくのが一般的です。アレルギーのあるお客様の料理を分けて作るなど、間違えられない仕事も多くあります。

客室清掃・洗い場

お客様が発ったあとの客室を清掃し、ベッドメイクや布団の入れ替え、アメニティの補充をします。大浴場や廊下、トイレといった共用の場所の清掃、食器や調理器具の洗浄もこの仕事です。次のお客様が来るまでの決まった時間の中で、全室を同じ状態に整えます。

施設管理・営業・事務

お風呂のボイラーや空調などの設備の点検と修繕、庭や駐車場の手入れを受け持つ施設管理の仕事があります。ほかに、旅行会社や学校・会社に宿を売り込む営業、予約の管理、経理や人事などの事務の仕事があります。

仕事の中身は「どんなお客様を泊めているか」で変わる

同じ「接客」でも、個人や家族のお客様が中心の宿と、団体のお客様が中心の宿では、仕事の質がまったく違います。

個人のお客様が中心の宿では、お一人おひとりの好みや記念日に合わせて、時間をかけて向き合う接客が求められます。到着の時間も食事の時間もばらばらなので、1日の中で仕事が少しずつ続きます。

団体のお客様が中心の宿では、同じ時刻にご到着になり、同じ時刻に食事をとり、同じ時刻に動かれます。時間どおりに、全員に、届けきることが先に来ます。

くわるびは、学校の林間学校や勉強合宿、会社の研修といった団体のお客様が中心のホテルです。食事の配膳や会場準備に加えて、学生団体のキャンプファイヤーやカレー作りといった野外活動の運営を手伝うことも、お客様と接する仕事に入ります。

長机と椅子が並ぶ光風閣くわるびの大きな会場
研修や講演に使う会場。団体の到着に合わせて、机や椅子をセットします

お客様と接する仕事の1日の流れ(早番の例)

ここからは、くわるびでお客様と接する仕事をしているスタッフに聞いた、ある1日の流れです。6月、学校の団体が泊まっていた日の早番を例にしています。

白いクロスの長テーブルが並ぶ光風閣くわるびのレストラン
朝食や夕食をお出しするレストラン。団体のお客様が一度に食事をとります
  1. 出勤して、レストランの開店準備をする
  2. 朝食の配膳と接客をする。この日はビュッフェ形式で朝食をお出ししました
  3. 片付けをする。下げ膳、テーブルの拭き掃除、床の掃き掃除とモップがけ、トイレ掃除などです
  4. 休憩をとる。ここで朝ごはんを食べるスタッフもいれば、コーヒーを飲んでゆっくりするスタッフもいます
  5. 会場の準備をする。このあと到着する団体が使う会場を片付けて、机や椅子をセットします
  6. 受け入れの準備をする。到着する団体の資料を確かめ、事前の連絡に対応します
  7. フロントでお客様を迎える。元気な挨拶でお迎えし、添乗員さんや、カヌーなどの体験を受け持つ業者さんとのやり取りもします
  8. 事務作業をする。資料を作ったり、消耗品を発注したりします
  9. 退勤

朝食の時間に人手が集中し、そのあとに次の団体を迎える準備が続く、という流れです。帰る団体を送り出しながら、次の団体を迎える準備をするのが、団体の多いホテルの早番の特徴です。

1日の入り方はこの早番だけではありません。昼から入って夕食から就寝までを見る日(遅番)や、朝と夕方に働いて、その間の日中がまるごと空く日(中抜け)もあります。どの形で何時から何時まで働くかは宿や求人ごとに違うので、応募の前に求人票で確かめてください。

入ったばかりの人が最初に覚えること

くわるびでは、入ったばかりの人が最初に覚えるのは、レストランの仕事(特に朝食と夕食)か、フロントの仕事(お客様の受け入れ)のどちらかです。

レストランでは、食事の準備から配膳、下げ膳、片付けまでの流れを覚えます。フロントでは、団体のお客様の受け入れの流れと、添乗員さんや業者さんとのやり取りを覚えます。

旅館やホテルの仕事は、どこでも最初はこの2つのどちらかから入ることが多いです。お客様の動きと宿の1日の流れが、いちばんよく見える場所だからです。そのうえで、館内の場所、言葉遣いや挨拶の仕方、お客様からよく聞かれることへの答え方を、働きながら少しずつ覚えていきます。

最初の1か月でつまずきやすいこと

くわるびのスタッフによると、入ったばかりの人がつまずきやすいのは、団体ならではの「一斉の動き」だそうです。

食事の時間になれば、何十人、何百人のお客様が一度に会場へ入ってきます。決まった時間の中で、量とスピードが求められます。最初の1か月は、この全体のスピード感に慣れるまで大変だと感じる人が多いといいます。

一方で、ペースがつかめれば余裕が持てるようになる、とも聞いています。流れが毎回ほぼ同じだからこそ、一度体が覚えてしまえば、次に何が起きるかが先に見えるようになります。

最初の1か月を乗り切るために、一般的に役に立つのは次のようなことです。

  • 1日の流れを、自分の言葉でメモに書いておく
  • 分からないことは、その場で近くの先輩に聞く
  • 自分の持ち場だけでなく、まわりのスタッフが次に何をしているかを見る
  • 速さよりも、まず順番を間違えないことを優先する

「思っていた仕事と違った」と言われること

旅館やホテルの仕事は、入る前の想像と、入ってからの実際がずれやすい仕事でもあります。

くわるびで入社した人が最初に驚くことが多いのは、「一人ひとりにじっくり接客する」というより、「大人数を一斉に案内する」仕事だということです。ドラマや旅番組で見る、仲居さんがお部屋でお茶を入れて一組ずつ話をする姿を思い浮かべて入ると、ここで戸惑います。

ほかにも、旅館やホテルの仕事には、入る前に知っておいたほうがよいことがあります。

  • 土日祝が固定の休みになりにくい。世の中が休むときが、いちばん忙しいときです
  • 繁忙期と閑散期の差が大きい。忙しい時期は休みを取りにくく、落ち着いた時期にまとめて休む働き方になることが多いです
  • 中抜けのシフトは、人によって評価が分かれる。日中に用事を済ませられて良いという人もいれば、1日が長く感じるという人もいます
  • 体を使う立ち仕事が多い。配膳や会場準備では、机や椅子を運ぶこともあります

どれも「良い・悪い」ではなく、合う人と合わない人がいることです。応募の前に、自分の生活と合わせて考えておくと、入ってからのずれを小さくできます。

旅館やホテルの仕事のやりがい

それでも旅館やホテルの仕事を続けている人は、どんなところにやりがいを感じているのでしょうか。くわるびのスタッフの答えを紹介します。

学校の団体が多いホテルですが、お客様一人ひとりから直接声をかけてもらえる場面が、意外に多いそうです。生徒だけでなく、先生から「今度はプライベートで来たいです」と言ってもらえることもあります。

後日、学校から感謝の寄せ書きが届くことも多く、その寄せ書きを読む時間は本当に楽しい、とスタッフは話します。

キャンプファイヤーでの出し物やダンス、生徒一人ひとりがこの日のために作ってきた紙の富士山のバッジ。そうしたものを見ると、お客様がこの日のために準備してきた時間や、楽しみにしてきた気持ちが伝わってきます。その大切な場面に関われることが、やりがいであり、日々の励みになっているそうです。

夜のキャンプファイヤーを囲んで手をつなぐ人たち
学生団体のキャンプファイヤー。やぐらを組むところから、スタッフが手伝います

団体の多い宿では、一人ひとりにじっくり向き合う時間は短くなります。そのかわり、何十人、何百人の「一度きりの思い出」を、裏側から一緒につくる仕事だといえます。

旅館やホテルの仕事で身につくことと、その先のキャリア

旅館やホテルの仕事で身につくのは、接客の言葉遣いやマナーだけではありません。決まった時間の中で段取りを組む力、まわりのスタッフと声をかけ合って動く力、予定どおりにいかないときにその場で判断する力が、毎日の仕事の中で鍛えられます。

団体のお客様が多い宿では、添乗員さんや引率の先生、体験を受け持つ業者さんなど、お客様以外の人と一緒に一日を組み立てる場面も多くあります。相手の予定を聞き、自分たちの準備と合わせていく力は、ほかの仕事に移っても生きる力です。

キャリアの道すじとしては、一般的に、現場の仕事を覚えたあとに、持ち場のリーダーや主任として新しいスタッフに教える立場になり、その先で支配人など宿全体を見る立場に進む形があります。予約や営業、企画の仕事に移る人、調理の道を深める人もいます。どの道に進むにしても、最初の現場で覚えたお客様の動きと宿の1日の流れが土台になります。

旅館やホテルの仕事に向いている人

ここまでの話から、旅館やホテルの仕事に向いているのは、次のような人です。

  • 人と話すことや、人の役に立つことが好きな人
  • 決まった流れを、時間どおりに回すことが苦にならない人
  • まわりのスタッフと声をかけ合って動ける人
  • 体を動かす仕事が好きな人
  • お客様の「ありがとう」や、思い出づくりに関われることを励みにできる人

反対に、毎日決まった時間に帰りたい人や、土日はかならず休みたい人には、合いにくい仕事かもしれません。

特別な資格や経験がなくても始められる仕事が多いのも、旅館やホテルの仕事の特徴です。必要なことは、ほとんどを働きながら覚えていきます。

応募の前に知っておいてほしいこと

最後に、くわるびの面接で、応募してくださった方からよく聞かれることを紹介します。旅館やホテルの多くは観光地や自然の中にあるので、ほかの宿で働くことを考えている人にも参考になるはずです。

通勤はどうしている?

くわるびは西湖のほとりにあるので、車で通勤している人がほとんどです。応募の前に、通勤に使える車があるかを考えておいてください。

冬は雪が降る日もあります。「雪の日に家へ帰れなくなったらどうするのか」と聞かれることもあり、帰り道が不安な日は、空いている客室に泊まってもらうように声をかけています。

山や湖の近くにある宿で働く場合は、どこでも通勤の方法と冬の道を先に確かめておくと安心です。

服装や髪型の決まりは?

「髪の色やネイルに決まりはあるか」「どんな服で出勤すればよいか」もよく聞かれます。

くわるびでは、髪の色に細かい決まりはなく、お客様が不快に思わなければ染めていても大丈夫です。ただ、配膳をするので、長すぎるネイルは難しいとお伝えしています。

キャンプファイヤーのやぐらを組んだり、会場の机を運んだりと体を動かす場面が多いので、ポロシャツやTシャツで働いているスタッフも多いです。

服装や髪型の決まりは、宿によって大きく違います。着物で接客する旅館もあれば、制服が決まっているホテルもあります。気になる場合は、面接で遠慮なく聞いてみてください。

夜勤はある?

旅館やホテルは夜もお客様が泊まっているので、夜の間にフロントを守る人がいます。くわるびでは夜勤は夜のフロントの担当が受け持っていて、お客様と接する仕事のスタッフが夜勤に入ることは、よほどのことがない限りありません。夜勤の有無と回数は宿ごとに違うので、求人票と面接で確かめておきましょう。

旅館やホテルの仕事についてよくある質問

未経験でも働ける?

旅館やホテルの仕事は、未経験から始める人が多い仕事です。接客の言葉遣いや仕事の流れは、働きながら先輩に教わって覚えていきます。飲食店や販売など、人と接する仕事をしたことがあれば、その経験はそのまま生かせます。

資格は必要?

フロントや接客、清掃の仕事に、なければ働けない資格はほとんどありません。調理の仕事では調理師の資格があると有利なことがありますが、働きながら取る人もいます。資格よりも、まず仕事の流れを覚えることが先です。

英語は話せたほうがいい?

海外からのお客様が多い宿では、簡単な英語や中国語が話せると役に立ちます。一方で、国内の団体のお客様が中心の宿では、外国語を使う場面は多くありません。どんなお客様が多い宿なのかを、求人票や宿のホームページで見てみてください。

アルバイトやパートから始められる?

多くの宿で、正社員のほかにアルバイトやパートの募集があります。洗い場や清掃、朝食の時間だけといった短い時間の働き方もあります。まず短い時間で働いてみて、自分に合うかを確かめるのも一つの方法です。

まとめ

旅館やホテルの仕事内容は、お客様と接する仕事、調理の仕事、施設を支える仕事の3つに大きく分かれます。同じ「接客」でも、旅館かホテルかより、どんなお客様を泊めている宿かで、1日の流れも求められることも大きく変わります。

団体のお客様が中心のホテルでは、最初の1か月はスピード感に慣れるまでが大変です。そのかわり、学校から届く寄せ書きや、お客様が楽しみにしてきた一日に関われることが、続ける力になっています。

光風閣くわるびを運営するHAMAYOUリゾートの仕事の中身と、いま募集している職種は、採用情報のページにまとめています。給与や勤務時間などの最新の条件は、採用情報のページから求人票でご確認ください。