旅館の仕事はきつい?現場が答える「きついところ」と、続けている人の付き合い方
旅館やホテルの仕事は「きつい」と言われることがあります。よく挙がるのは、朝と夜に分かれた勤務、忙しい時期の長い日、立ちっぱなしの体力仕事です。この記事では、山梨県・西湖のほとりで学校や会社の団体を受け入れているホテル、光風閣くわるびを運営するHAMAYOUリゾートが、現場で実際に「きつい」と言われていることと、続けている人がそれとどう付き合っているかを、正直に書きます。
きついところを先に書くのは、入ってから「聞いていなかった」となるのを減らしたいからです。良いところだけを並べて応募してもらっても、合わなければお互いにつらくなります。給与や休みの日数などの条件は求人票ごとに違うので、この記事では扱いません。
旅館やホテルの仕事が「きつい」と言われる理由
求人サイトや経験者の声を見ると、旅館やホテルの仕事が「きつい」と言われる理由は、だいたい次の5つにまとまります。
勤務が朝と夜に分かれる日がある
宿の忙しい時間は、朝食とお見送りの朝と、到着から夕食までの夕方以降の2回です。そのため、朝に働いて、日中に長い休憩をはさみ、夕方からもう一度働く「中抜け」という勤務の形がよくあります。1日の拘束が長く感じられるのが、きついと言われる一番の理由です。
忙しい時期とそうでない時期の差が大きい
連休や夏休み、学校の行事が重なる時期は、毎日のように満室が続きます。一方で、お客様の少ない時期もあります。忙しい時期は休みを取りにくく、1日も長くなりがちです。
土日祝が休みにならない
世の中が休むときが、宿のいちばん忙しいときです。友人や家族と休みが合わせにくい、という声はよく聞きます。
体を使う立ち仕事が多い
配膳、客室や会場の準備、布団やテーブルの運搬など、立ったまま体を動かす仕事が中心です。慣れるまでは、足や腰の疲れを感じる人が多いです。
お客様の前で気を張り続ける
接客の仕事では、忙しいときほど落ち着いて見せることが求められます。予定外のお願いやトラブルにも、その場で対応しなければなりません。
どれも、宿という仕事の形から来るものです。どこの宿で働いてもある程度はついてきますが、その重さは「どんなお客様を泊めている宿か」でかなり変わります。
団体のお客様が中心のホテルで、実際にきついと言われること
光風閣くわるびのお客様は、ほとんどが学校や会社の団体です。サービスの仕事を見ている責任者に、入社した人が「きつい」と言うことで多いものを聞きました。挙がったのは次の4つです。
中抜けのある1日
くわるびのお客様と接する仕事には、朝早くから入る日、昼から入って夜まで見る日、そして朝と夕方に働いて間の日中が空く「中抜け」の日があります。
中抜けは、人によって評価が大きく分かれます。日中に用事を済ませられるのが良いという人もいれば、1日が長く感じるという人もいます。入社した人が「きつい」と言うことで、いちばん多く挙がるのがこの中抜けです。
忙しい時期の長い日
くわるびが一番忙しいのは、4月、7月の中旬、8月です。7月の中旬は、いくつもの団体の到着が重なります。この時期は1日の勤務が長くなる日が続き、これもきついと言われることの1つです。
会場のセット
団体のお客様は、研修や学習、宴会に会場を使います。次の団体が来る前に、机や椅子を運び、決められた形に並べ直します。団体の人数分を並べるので、まとまった力仕事になります。

夏の屋外炊事の準備
学校の団体には、カレー作りなどの屋外での炊事があります。炊事場や道具の準備、食材の段取り、片付けまでを屋外で行います。夏場は暑さの中での作業になるので、体力を使います。

一番忙しい時期の1日の流れ
忙しい時期の、お客様と接する仕事の1日の形を、サービスの責任者に聞きました。時刻は日によって変わるので、順番だけを書きます。
- 出勤して、朝食の対応(配膳、ご案内、片付け)
- 休憩をとって、自分の食事を済ませる
- その日に使う会場のセット(一部の人は昼食の対応に入る)
- 長めの休憩(中抜け)
- 戻って、受け入れの資料の確認などのデスクの仕事
- 夕食の対応
- 上がり
朝食から夕食までを見るので、1日の始まりと終わりの間は長くなります。そのかわり、間の休憩も長くとります。この「間の時間」をどう使うかが、忙しい時期を乗り切れるかどうかに大きく関わります。
仕事ごとに違う「きつさ」
ここまでは、お客様と接する仕事の話でした。同じ宿の中でも、仕事によってきつさの中身は違います。HAMAYOUリゾートの採用ページで「先に知っておいてほしいこと」として書いていることを、仕事ごとにまとめます。
お客様と接する仕事
フロント、館内のご案内、食事の配膳、会場の準備、野外活動の運営の手伝いなどです。相手はほとんどが団体のお客様で、同じ時刻に到着し、同じ時刻に食事をとり、同じ時刻に動かれます。一人ひとりに時間をかけるより、時間どおりに全員に届けきることが先に来ます。
土日祝が固定の休みにならないこと、中抜けの評価が人によって分かれること、忙しい時期とそうでない時期の差が大きいことは、この仕事にそのまま当てはまります。
調理の仕事
くわるびの厨房は、学生団体の大量調理が中心です。決まった時刻に、全員分を、同じ状態で出しきることが求められます。一皿ずつ作り込む料理とは考え方が違うので、どちらか一方の経験しかない人は、もう一方を考え方から入れ替えることになります。
学生のお客様は、食べる量も好みも大人とは違います。読みが外れて残ることも、足りなくなることもあります。仕込む量が時期でまるごと変わるのも、きつさの1つです。
施設を支える仕事
客室や廊下、トイレ、大浴場の清掃、食器や調理器具の洗い場、備品の管理などです。体を使う立ち仕事で、団体のお客様が入ると扱う量が一気に増えます。平らに続く仕事ではありません。
お客様から直接お礼を言われる機会は、多くありません。人から褒められることを支えに働きたい人には、向かない仕事です。そのかわり、お客様が部屋に入ったとき、お風呂に入ったときの印象は、この仕事で決まります。
合わなかった人に多かったこと
採用の記事でここまで書くのは珍しいかもしれませんが、合わずに辞めてしまった人のことも聞きました。
サービスの責任者によると、ここ数年で「合わなかった」という理由で辞めた人は、ほとんどいません。辞めた人の多くは、自分の夢や次の挑戦のために辞めています。
ただ、もう少し前までさかのぼると、合わなかった理由として挙がるのは次の3つでした。
- 中抜けの勤務が合わなかった
- 忙しい時期の長さ(4月から9月ごろまで続く)が合わなかった
- 体力的にきつかった
どれも、この記事の前半で書いた「きついところ」そのものです。逆に言えば、この3つを先に知ったうえで「それなら大丈夫そう」と思える人は、入ってから大きく崩れることは少ない、ということでもあります。
きつさと付き合っている人がしていること
では、続けている人はきつさとどう付き合っているのでしょうか。
中抜けの時間に休む
中抜けの間は、仮眠をとっている人が多いそうです。朝が早く、夜まで続く日は、間にしっかり眠っておくだけで、夕方からの動きがまったく違います。日中に買い物や用事を済ませる人もいます。中抜けを「待ち時間」ではなく「自分の時間」として使えるかどうかで、1日の長さの感じ方が変わります。
前向きな人が多い職場で働く
サービスの責任者は、いまのくわるびのスタッフについて「前向きな人が多い」と話します。忙しい時期にきつくても、周りの前向きな姿勢に引っ張られて乗り越えている、と。団体のお客様を迎える仕事は、1人では回りません。きつい日ほど、隣で同じ仕事をしている人の存在が支えになります。
落ち着いた時期にまとめて休む
忙しい時期とそうでない時期の差が大きいので、忙しい時期は休みが取りにくく、そのかわり落ち着いた時期にまとめて休むことになります。1年を通して同じ調子で働くのではなく、波に合わせて働き、波に合わせて休む働き方です。

動きやすい服装で働く
会場のセットや、キャンプファイヤーのやぐら組みのような力仕事があるので、くわるびではポロシャツやTシャツで働いている人も多いです。決まった制服はありません。体を使う仕事では、動きやすい服装と、立ち仕事に合った靴を選ぶだけでも、1日の疲れ方が変わります。
最初の1か月は「慣れるまで」と割り切る
サービスの仕事で最初につまずきやすいのは、団体ならではの一斉の動きです。決まった時間に、全員分を、まとめて届けなければなりません。最初の1か月は、このスピード感に慣れるまで大変だと感じる人が多いですが、ペースがつかめれば余裕が持てるようになります。最初のきつさは、ずっと続くきつさとは別のものです。
入ってすぐに「きつい」と感じたら
働き始めてすぐに「きつい」と感じるのは、珍しいことではありません。旅館やホテルの仕事は、覚えることが多いうえに、体の使い方も、1日の時間の流れも、ほかの仕事と違うからです。そう感じたときに試してほしいことを、一般的な目安として3つ書きます。
きついのが「慣れ」か「合わない」かを分ける
最初の数週間のきつさの多くは、仕事の流れが見えていないことから来ます。次に何が来るか分からないまま動くと、同じ仕事でも何倍も疲れます。流れが見えてくると、同じ量の仕事でも楽に感じるようになります。一方で、中抜けの生活のリズムや、土日祝に休めないことのように、慣れても変わらないきつさもあります。自分のきつさがどちらなのかを分けて考えると、続けるかどうかを決めやすくなります。
早めに口に出す
体のつらさや、分からないことを抱えたまま働くと、きつさは大きくなります。旅館やホテルの仕事は、何人もで1つの流れを回す仕事なので、1人の困りごとはまわりも気づきたいことです。先輩や上の人に早めに伝えると、仕事の順番を変えたり、慣れるまで受け持ちを絞ったりできることがあります。
休みの日は、しっかり休む
忙しい時期は、休みの日に疲れが一気に出ることがあります。休みの日まで予定を詰めすぎず、体を戻すことを優先するのも、長く続けている人がしていることの1つです。
それでも続けている人がいる理由
きついところを並べてきましたが、それでも続けている人がいるのは、この仕事にしかない場面があるからです。
学校の団体が多いくわるびでも、お客様一人ひとりから直接声をかけられる場面は意外に多くあります。先生から「今度はプライベートで来たいです」と言われることもあります。後日、学校から寄せ書きが届くことも多く、それを読む時間を楽しみにしているスタッフもいます。
キャンプファイヤーでの出し物やダンス、生徒がこの日のために作ってきた紙の富士山のバッジ。お客様が準備して、楽しみにしてきた一日に関われることが、忙しい時期を越える力になっています。
旅館やホテルの仕事に向いている人・向いていない人
ここまでの話をもとに、向いている人と向いていない人をまとめます。これは一般的な目安で、最後は自分で確かめるのがいちばんです。
向いている人
- 体を動かす仕事が苦にならない人
- 決まった時間に向けて、みんなで段取りよく動くのが好きな人
- 忙しい時期とそうでない時期の波を、「そういうもの」と受け止められる人
- 休憩の時間を、自分のために上手に使える人
- 周りと声をかけ合いながら働きたい人
向いていないかもしれない人
- 毎日同じ時間に働いて、同じ時間に帰りたい人
- 土日祝は必ず休みたい人
- お客様一人ひとりに時間をかけて向き合う接客がしたい人(団体が中心の宿の場合)
- 長時間の立ち仕事が体に合わない人
「向いていないかもしれない」に当てはまっても、宿の形によっては合うこともあります。たとえば、個人のお客様が中心の旅館や、日帰りの温泉施設では、1日の流れも忙しさの波もかなり違います。
応募の前に確かめておきたいこと
きつさの感じ方は、宿によって大きく変わります。応募の前に、次のことを求人票や面接で確かめておくと、入ってからのずれが小さくなります。
どんなお客様が多い宿か
個人のお客様が中心か、団体が中心か。団体なら、学校か会社か。泊めているお客様で、1日の流れも忙しい時期も決まります。
中抜けの勤務があるか
中抜けがあるか、どれくらいの頻度か。合うかどうかが人によって大きく分かれるところなので、先に聞いておくのがおすすめです。
一番忙しい時期はいつか
宿によって、忙しい時期は違います。くわるびの場合は4月、7月の中旬、8月です。その時期に自分の予定とぶつかるものがないかも、考えておくとよいでしょう。
通勤の手段
山や湖のそばにある宿は、公共の交通では通いにくいことがあります。くわるびも車での通勤が基本です。冬の雪の日には、空いている客室に泊まれるようにしています。通勤の手段は、続けられるかどうかに直結します。
旅館やホテルの仕事のきつさについてよくある質問
未経験でもついていける?
旅館やホテルの仕事は、未経験から始める人が多い仕事です。最初の1か月はスピード感に慣れるまでが大変ですが、仕事の流れは働きながら覚えていきます。最初から全部できる人はいません。
体力に自信がなくても大丈夫?
立ち仕事や運搬が多いので、体力はある程度使います。ただ、最初から長い日ばかりが続くわけではありません。体が慣れるまでの間に、自分の疲れ方を知って、休憩の取り方を工夫していく人が多いです。
「旅館はブラック」と聞くけど本当?
宿によって働き方は大きく違うので、ひとくくりにはできません。気になる場合は、中抜けの有無、忙しい時期の働き方、休みの取り方を、面接で具体的に聞いてみてください。きついところを正直に答えてくれるかどうかも、その宿を見る目安になります。
中抜けの間は何をしているの?
宿の近くに住んでいる人は、いったん家に帰ることもあります。仮眠をとる人、買い物や役所の用事を済ませる人、趣味の時間にあてる人など、使い方は人それぞれです。休憩の間の過ごし方は、面接のときに働いている人に聞いてみると、具体的な様子が分かります。
繁忙期以外は楽なの?
お客様の少ない時期は、1日の流れに余裕が出ます。ただ、その時期は、忙しい時期に向けた準備や、施設の手入れ、片付けなど、ふだん手が回らない仕事をすることもあります。「忙しくない時期」は「仕事がない時期」ではありません。
住み込みのリゾートバイトとは何が違う?
リゾートバイトは、繁忙期の短い期間だけ、寮に住み込みで働く形が多いです。忙しい時期にまとめて働くので、きつさは集中します。地元から通って長く働く場合は、忙しい時期と落ち着いた時期の両方を経験することになります。
まとめ
旅館やホテルの仕事が「きつい」と言われるのは、中抜けのある勤務、忙しい時期の長い日、土日祝が休みにならないこと、体を使う立ち仕事が多いことが主な理由です。団体のお客様が中心の光風閣くわるびでも、中抜け、忙しい時期の長い日、会場のセット、夏の屋外炊事の準備が「きつい」と言われています。
続けている人は、中抜けの時間にしっかり休み、落ち着いた時期にまとめて休み、きつい日を周りの前向きさで乗り越えています。そして、学校から届く寄せ書きや、お客様が楽しみにしてきた一日に関われることが、その支えになっています。
光風閣くわるびを運営するHAMAYOUリゾートの仕事の中身と「先に知っておいてほしいこと」、いま募集している職種は、採用情報のページにまとめています。仕事の流れについては旅館の仕事内容の記事も合わせてご覧ください。給与や勤務時間などの最新の条件は、採用情報のページから求人票でご確認ください。