旅館の仕事は楽しい?団体を迎えるホテルの支配人が話す「楽しい瞬間」と、任されるまで
旅館やホテルの仕事は本当に楽しいのか。修学旅行や合宿、研修の団体が泊まる西湖畔のホテル、光風閣くわるびの支配人に、働いていて楽しい瞬間と、未経験から仕事を任されるまでを聞きました。運営するHAMAYOUリゾートがまとめます。
旅館の仕事の楽しさは、求人サイトにもたくさん書かれています。お客様の「ありがとう」、おもてなしの心、チームワーク。どれも本当のことですが、実際の職場でそれがどんな場面なのかは、働いている人に聞かないと分かりません。この記事では、一般的に言われる楽しさを短く整理したうえで、団体のお客様が中心のホテルならではの楽しさを、支配人の言葉に沿って書きます。良いことだけを並べないよう、楽しさの裏にあるきつさにも触れます。
一般に言われる、旅館やホテルの仕事の楽しさ
宿で働く人の声や求人の記事でよく挙がる楽しさは、大きく分けると4つあります。
お客様の反応を、目の前で受け取れる
宿泊のお客様とは、到着からお見送りまで顔を合わせます。料理を出したとき、客室に案内したとき、帰り際に、お客様の反応がその場で返ってきます。自分のサービスが届いたかどうかが、すぐに分かる仕事です。
旅という特別な時間に関われる
お客様にとって、宿に泊まる日はふだんとは違う一日です。家族の記念日、学校の行事、会社の旅行。その特別な時間を、裏側から支えられることを魅力に挙げる人は多くいます。
一人では回らない仕事を、みんなで回す
フロント、レストラン、客室、調理、清掃。宿の仕事は、どれか1つが欠けても回りません。忙しい日をスタッフ全員で乗り切ったときの達成感は、この業界ならではのものです。
未経験から始めて、できることが増えていく
旅館やホテルは、未経験から始める人が多い職場です。最初は先輩について覚え、少しずつ任される仕事が増えていきます。自分の成長が目に見えやすい仕事だと言われます。
季節の移り変わりの中で働ける
宿の多くは、海や山、湖、温泉地など、景色の良い観光地にあります。季節ごとにお客様の顔ぶれも、館内の行事も変わります。毎日同じ部屋で同じ作業を続ける仕事とは違い、1年の中に波と変化があることを楽しさに挙げる人もいます。
ここまでは、どの宿にもある程度当てはまる話です。
楽しさの中身は、どんなお客様を泊める宿かで変わる
同じ「旅館やホテルの仕事」でも、どんなお客様を泊めているかで、楽しさの形はかなり違います。応募先を選ぶときは、この違いを先に知っておくと、入ってからの「思っていたのと違う」が減ります。
個人のお客様が中心の旅館
一組ずつのお客様と過ごす時間が長いのが特徴です。仲居や客室係が、食事の席や客室で会話をしながらおもてなしをします。お客様の名前を覚え、好みを覚え、次に来たときに「覚えていてくれた」と喜ばれる。一人ひとりとの関係が深まっていくところに楽しさがあります。
団体のお客様が中心のホテル
大勢のお客様を、決まった時間どおりに一斉に案内するのが特徴です。一組と長く話す時間は短いかわりに、修学旅行や合宿、研修といった行事そのものを、裏側から一緒につくることになります。団体をまとめる先生や幹事の人と、何年も続く付き合いが生まれることもあります。
日帰りの温泉施設や食事処
泊まりのお客様より、地元の常連のお客様や、観光の途中に立ち寄る人が多くなります。毎日のように顔を合わせるお客様と、短い会話を重ねていく楽しさがあります。
ここからは、学校や会社の団体を受け入れる光風閣くわるびの現場で、実際に「楽しい」と感じられていることを書きます。
団体を迎えるホテルの支配人が「楽しい」と感じるとき
くわるびの支配人は、以前は受け入れの担当として現場に出ていました。いまは全体を見る立場です。楽しいと感じるときを聞くと、3つの場面が挙がりました。
隙間の時間に、先生や旅行会社の人と話す
現場に出ていた頃に大切にしていたのは、仕事の隙間の時間に、引率の先生方や旅行会社の担当の人と世間話をすることでした。
団体のお客様を迎える仕事では、生徒や社員の皆さんの向こうに、その団体をまとめている人がいます。先生や旅行会社の人です。予定の確認や打ち合わせだけでなく、ちょっとした雑談を重ねていくと、相手のことが分かり、相手もこちらを分かってくれるようになります。支配人はこれを「人間関係づくり」と話します。
旅館の仕事というと、お客様をもてなす場面が思い浮かびます。団体の多い宿では、それと同じくらい、団体をまとめる人との関係を育てる時間に楽しさがあります。
「まわるか、まわらないか」のぎりぎりを回しきる
もう1つは、大きな団体を「まわるか、まわらないか」のぎりぎりのところで運営しているときです。
大勢のお客様が、同じ時刻に到着し、同じ時刻に食事をとり、同じ時刻に動きます。会場の準備、食事の配膳、野外活動の段取り。どれか1つが遅れると、その後ろが全部ずれていきます。スタッフ全員が自分の持ち場で動き、ぎりぎりのところで予定どおりに回しきったときの手応えは、団体を受け入れる宿でしか味わえないものです。
忙しさは、きつさにもなります。同じ忙しさを「楽しい」と感じられるかどうかで、この仕事との相性はかなり変わります。
スタッフが立場を越えて話し合っているのを見る
いまの立場になってからの楽しみは、少し離れたところからスタッフを見ていることだそうです。
年齢も、立場も、国籍も違うスタッフが、意見を出し合ってアイデアを広げている。あるいは、何でもない世間話をしている。その様子を少し離れて見ているのが楽しい、と支配人は話します。
くわるびでは、外国籍のスタッフも働いています。入ったばかりの人もベテランも、同じ場で意見を出せることは、この職場の特徴の1つです。
学校以外のお客様が、もう一度来てくれる
くわるびのお客様のほとんどは学校の団体ですが、それ以外のお客様とのうれしい出来事も聞きました。共通しているのは、お客様が「もう一度」来てくれることです。
帰り際の「来年もお願いね」
現場に出ていた頃には、高校や学習塾、小さな団体から、次の年の受け入れの指名をもらえたことがありました。
帰り際に「来年もお願いね」と言われる。団体の泊まる宿は、毎年見直されるものです。その中で同じ宿をまた選んでもらえるのは、その年の受け入れがうまくいったことの、何よりの答えです。
背伸びをしない、寄り添った対応
個人のお客様は多くありませんが、何度も泊まりに来てくださるリピーターが何組かいます。喜ばれているのは、スタッフの温かい対応です。
支配人はそれを「背伸びをしない寄り添った対応」と表します。自分たちを大きく見せようとせず、できることを、目の前のお客様に合わせて丁寧にする。それが、もう一度来たいと思ってもらえる理由になっています。
学校で来たお子さんが、家族旅行で戻ってきた
いちばん印象に残っている出来事を聞くと、ある家族の話が出てきました。
食物アレルギーのあるお子さんが、学校の団体でくわるびに泊まりました。そのときの、事前の確認から当日の対応までの親切さを、ご家族がとても喜んでくれたそうです。後日、そのご家族が、個人の家族旅行で泊まりに来てくれました。そして、食事を持ち込まずに宿の食事をとったのは、そのときが初めてだったそうです。
学校で来たときにそのお子さんの対応をしたのは、当時まだ入社1年目のスタッフでした。経験の長さではなく、目の前のお客様にどこまで寄り添えるかが、お客様の旅の形まで変えることがあります。

未経験から、仕事を任されるまで
旅館やホテルの仕事が楽しくなるのは、自分で回せる仕事ができてからです。くわるびで、未経験の人がどんな順番で仕事を任されていくのかを聞きました。
最初に任されるのは、式の挨拶とキャンプファイヤー
入社の時期によって変わりますが、最初に任せるのは、学校の団体の開校式・閉校式での挨拶と、キャンプファイヤーの運営です。早い人で、1〜2か月でできるようになります。
開校式・閉校式は、学校の団体が宿に着いたときと、帰るときに行う式です。宿の側からも挨拶をします。キャンプファイヤーは、夜に生徒の皆さんが出し物やダンスを楽しむ時間で、その運営を宿のスタッフが担います。
なぜ、入ったばかりの人にここから任せるのか。理由は、子どもたちと触れ合う機会になるから、でした。団体の多い宿では、一人ひとりのお客様とゆっくり話す時間は多くありません。式の挨拶やキャンプファイヤーは、生徒の皆さんの前に立ち、反応を直接受け取れる場面です。最初の仕事を、この仕事の楽しさがいちばん分かる場面にしているわけです。

同じ時期に、少しずつ覚えていく仕事
式やキャンプファイヤーと並行して、次のような仕事を少しずつ覚えていきます。
- 消耗品の発注
- フロントの回し方
- レストランの回し方
レストランやフロントで言われたとおりに動けるようになることと、その場を自分で「回す」ことの間には、少し距離があります。入ってすぐの1か月で戸惑いやすいことと、ふだんの1日の順番は、旅館の仕事内容の記事で紹介しています。
任されると、楽しさの中身が変わる
最初は、言われたことをこなすので精一杯です。それが、式の挨拶を任され、キャンプファイヤーを任され、発注やフロントを任されるようになると、見える景色が変わってきます。
自分の段取りで団体が予定どおりに動く。式の挨拶で生徒の皆さんの前に立つ。先生と雑談ができるようになる。支配人が挙げた「楽しいとき」は、どれも、任された仕事の中にあるものです。
スタッフ同士の距離感
職場の雰囲気は、働く前にいちばん知りたいことの1つです。くわるびのスタッフ同士の距離感を、そのまま書きます。
仕事が終わったあとや中抜けの時間、休みの日に、スタッフ同士で遊びに行ったり、食事に行ったりすることは、頻繁にはありません。休憩の時間も、それぞれが自分のペースで休んでいます。
求人の記事では「スタッフはみんな仲良し」と書かれることがよくありますが、くわるびはそういう職場ではありません。仕事の中では年齢や立場を越えて意見を出し合い、仕事の外ではそれぞれの時間を大事にする。プライベートまで一緒に過ごすことは求められないので、人付き合いに気を使いすぎずに働きたい人には合う距離感です。逆に、職場の仲間と毎週のように遊びに行きたい人には、物足りなく感じるかもしれません。
楽しさの裏にある、きついところ
ここまで楽しさを書いてきましたが、同じ職場には、きついところもあります。くわるびで入社した人がきついと言うことで多いのは、朝と夕方の間に長い休憩をはさむ「中抜け」の勤務、忙しい時期の長い日、会場のセット、夏の屋外炊事の準備です。
楽しさで挙がった「ぎりぎりを回しきる」手応えは、忙しい時期のきつさと表裏一体です。どちらか一方だけを見て決めると、入ってからずれが出ます。きつさの中身と、続けている人がそれとどう付き合っているかは、旅館の仕事はきつい?の記事に詳しく書いています。楽しさと合わせて読んでから、応募を考えてください。
旅館やホテルの仕事を楽しめる人
ここまでの話から見えてくる、団体を迎えるホテルの仕事を楽しめる人は、次のような人です。
- 人と話すことが好きな人。お客様だけでなく、引率の先生や旅行会社の人との何気ない会話を楽しめる人
- 忙しさを手応えに変えられる人。「まわるか、まわらないか」の状況で、自分の持ち場を守ることに面白さを感じる人
- 子どもたちの前に立つのが苦にならない人。式の挨拶やキャンプファイヤーで、生徒の皆さんを盛り上げる側に立てる人
- 背伸びせず、目の前のお客様に寄り添える人。経験が浅くても、一人のお客様のために丁寧に動ける人
- 職場と自分の時間を分けたい人。仕事では意見を出し合い、仕事の外では自分のペースで過ごしたい人
一組のお客様とじっくり話すおもてなしがしたい人や、仕事のあとも職場の仲間と過ごしたい人は、団体の多い宿より、個人のお客様を中心に泊める旅館で楽しさを見つけやすいかもしれません。
応募の前に、その宿の「楽しさ」を確かめる方法
楽しいかどうかは、最後は働いてみないと分かりません。それでも、応募の前や面接のときに確かめられることはあります。一般的な目安として4つ挙げます。
働いている人に「楽しいのはどんなとき?」と聞く
面接では、条件や仕事内容を聞くことが多いと思います。それに加えて、現場で働いている人に「この仕事で楽しいと感じるのはどんなときですか」と聞いてみてください。答えが具体的な場面で返ってくる職場は、楽しさが日々の仕事の中にある職場です。
最初に任される仕事を聞く
入ったばかりの人に、どの仕事から任せるのか。そこには、その宿が新しい人をどう育てたいかが表れます。くわるびのように、最初の仕事をお客様と触れ合う場面にしている宿もあります。
スタッフ同士の距離感を聞く
仕事のあとも一緒に過ごす職場か、仕事の外はそれぞれの時間か。どちらが良い悪いではなく、自分に合うかどうかです。ここが合わないと、仕事の中身が合っていても続けにくくなります。
きついところも合わせて聞く
楽しさだけを聞くと、入ってからのずれが大きくなります。忙しい時期や勤務の形など、きついところも一緒に聞いておくと、楽しさとのつり合いが見えてきます。
旅館の仕事の楽しさについてよくある質問
未経験でも、楽しいと思えるようになる?
最初の1か月は、仕事の流れとスピード感に慣れるのに精一杯で、楽しむ余裕はあまりないかもしれません。くわるびでは、入ったばかりの人にまず式の挨拶やキャンプファイヤーを任せています。そこで生徒の皆さんの反応を受け取れるようになると、仕事の見え方が変わってきます。
接客の経験がなくても大丈夫?
旅館やホテルは、接客の経験がない状態から始める人が多い仕事です。くわるびで喜ばれているのも、「背伸びをしない寄り添った対応」です。特別な技術より、目の前のお客様に合わせて丁寧に動けるかどうかが大切です。アレルギーの対応でご家族に喜ばれたのも、入社1年目のスタッフでした。
外国籍のスタッフや、年齢の違うスタッフと働くことはある?
くわるびでは、外国籍のスタッフも働いていて、年齢もさまざまです。仕事の場では、年齢・立場・国籍に関係なく意見を出し合っています。
スタッフ同士で遊びに行ったりする?
頻繁にはありません。休憩の時間も、それぞれが自分のペースで休んでいます。仕事の中ではよく話し、仕事の外ではそれぞれの時間を大事にする職場です。
学校の団体ばかりだと、毎日同じことの繰り返しにならない?
同じ式やキャンプファイヤーでも、団体ごとに生徒の皆さんの雰囲気も、先生の考えも、出し物も違います。次の年に同じ学校を迎えることもあり、「来年もお願いね」と言ってもらえるかどうかは、その年の受け入れ次第です。同じ形の仕事でも、毎回相手が違うことが、この仕事の面白さです。
楽しいことだけでなく、きついことも知っておきたい
くわるびで「きつい」とよく言われるのは、中抜けのある勤務や忙しい時期の長い日、会場づくりの力仕事です。それぞれの中身と付き合い方は、旅館の仕事はきつい?の記事をご覧ください。
仲居の仕事は楽しい?
仲居や客室係は、お客様の客室に出入りし、食事の席や布団の準備の合間に会話ができる仕事です。お客様と近い距離で話せることを楽しさに挙げる人が多い職種です。一方、団体のお客様が中心の宿では、客室ごとに担当がつく形をとらないこともあります。くわるびの場合、お客様と接する仕事は、フロントでのご案内、食事の配膳、会場の準備、野外活動の運営の手伝いなどです。どの仕事が自分に合うかは、採用情報のページで仕事の中身を見て考えてみてください。
楽しさを感じやすいのは、どんな仕事?
人によって違います。お客様の反応を直接受け取りたい人は、フロントや食事の配膳などのお客様と接する仕事。決まった時間に全員分をそろえて出しきることに面白さを感じる人は、調理の仕事。お客様の目に触れないところで、館内を気持ちよく整えることに手応えを感じる人は、清掃や施設を支える仕事。同じ宿の中にも、楽しさの種類はいくつもあります。
楽しいと思えないまま、時間がたってしまったら?
入って数か月は、仕事を覚えることで手一杯になり、楽しさを感じる余裕がないのは珍しいことではありません。まずは、自分が任されている仕事の中で、お客様の反応を直接受け取れる場面がどこにあるかを探してみてください。それでも見つからないときは、早めに上の人に相談すると、受け持ちを変えられることもあります。
まとめ
旅館やホテルの仕事が楽しいと言われるのは、お客様の反応を目の前で受け取れること、旅という特別な時間に関われること、みんなで回す達成感、できることが増えていく実感があるからです。
団体のお客様が中心の光風閣くわるびでは、支配人が、先生や旅行会社の人との世間話、ぎりぎりの団体を回しきる手応え、立場を越えて話し合うスタッフの姿に楽しさを感じています。高校や学習塾からの「来年もお願いね」、背伸びをしない対応を喜ぶリピーター、学校で来たお子さんが家族旅行で戻ってきたことも、この仕事ならではの出来事です。
未経験の人は、式の挨拶とキャンプファイヤーから任され、早い人で1〜2か月でできるようになります。きつさも含めて知ったうえで、働く場所として考えてもらえたらうれしいです。
HAMAYOUリゾートで働くことに興味を持っていただけたら、採用情報のページをご覧ください。3つの仕事の中身と、応募の前に「先に知っておいてほしいこと」、いま募集している職種を載せています。給与や勤務時間などの条件は、そこからつながる求人票が最新です。